歯周病罹患と食道がんと胃がんの発生リスクの上昇。米国ハーバード大学

2020/08/20 ブログ

米国ハーバード大学の研究により、歯周病が、生活習慣病のみならず、胃がんや食道がんのリスクまで高める可能性が示唆されています。

ハーバード大学の研究によると歯周病になることにより食道がんに罹患するリスクが43パーセント、胃癌に罹患するリスクが52パーセント高まるということが示唆されました。

1992年から2014年に行われた研究 the Nurses' Health Studyに参加した女性98,459名と、1988年から2016年に行われた研究 the Health Professionals Follow-up Studyに参加した男性49,685名を対象に行われたとのこと。22年から28年間に及ぶフォローアップ期間において、食道癌が199症例、胃癌が238症例観察された。そこにおいて、歯周病への罹患や歯牙の喪失との関連性を分析したところ、以下のことが判明したそうです。

歯周病の原因にかかわっていると考えられている、グラム陰性偏性嫌気性菌と言われるTannerella forsythiaPorphyromonas gingivalisの食道がん、胃がんの関連性も示唆されています。

 

Tannerella forsythiaについては最終糖化産物と言われるAGEsを作るということでも知られており、AGEsが高い方は生活習慣病や癌にもなりやすいということが言われています。ちなみに当院でも指先から全身に蓄積したAGEsを測定することができます。

測定できるようにしている理由は、歯周病との関連性や歯周病原因菌が作るAGEs、生活習慣病や重大な疾患と関連があるからです。

また、Porphyromonas gingivalisは、ジンジパインというタンパク分解酵素を作るので、脳に侵入することができたり脳で炎症を起こすことで、アルツハイマー型認知症のリスクをあげてしまうと考えられています。

また、腸内環境が悪い方など、お口の中からPorphyromonas gingivalisが腸に流れていくと、この菌が出すLPSと呼ばれる毒素の影響で肝臓に負担をかけ、肝臓で弱い炎症が起きるので非アルコール性肝炎を惹起するということも可能性として示唆されてきています。

炎症があることで活性酸素が発生したり、活性酸素の影響によってエピジェネティックな変化(遺伝子の変化はないが、細胞のふるまいが変わる現象)や遺伝子変異などが起こる可能性があるので、様々な病気を引き起こす引き金になります。特にお口の中の歯周病は症状がないまま経過していくことが多いので、日本の成人の約80%の人が罹患してると言われています。

歯周病については、日本の保険診療が充実しており、保険診療でも歯周組織精密検査や手術も受けられるので、真面目に歯周病の治療をやっている歯科医院できちっと検査と治療を受けることが望ましいと思います。

当院では体の炎症を検知する検査機器も置いているのですが、歯周病治療の治療を行なっただけで体に起こっていた炎症が正常範囲内までおさまってしまった方も複数いらっしゃいます。

その様な事実を日々の臨床で目の当たりにしていると胃がんや食道がんの発生リスクが高まっていても不思議はないと考えます。

歯周病の検査を受けたり、治療を受けることで、お口の中の炎症を取り除いて体の炎症も取り除けるようになっていただけると良いなと考えております。

現在流行している新型コロナウイルス感染症においても、コロナウイルスのレセプターが口腔粘膜に存在していることも確認されてきているので、口腔環境を合わせて見直していくことも大事だと思います。

当院では歯科人間ドックのように全身の健康とお口の健康を一度に知れるプログラムも用意しているので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。お問い合わせは受付対応や、お電話やEメールLINEのチャットなどでも受け付けています。

出典

https://gut.bmj.com/content/early/2020/06/30/gutjnl-2020-321949