歯周病菌のRT-PCR検査編 ~歯ぐきの血管から始まるストーリー~ tokyo minato-ku shimbashi english speaking dentistry ヘルシーライフデンタルクリニック

2020/05/13 ブログ

お口の中の悪玉菌の遺伝子を調べるPCR検査

 

東京都港区新橋のヘルシーライフデンタルクリニックのブログです。

歯周病は一種の感染症として認識されている考えがあります。

 

古くから歯周病の原因にかかわっている菌として知られていたP.g菌(ぴーじーきん)という菌がいます。

 

この菌は正式名称をPorphyromanas gingivalis(ぽるふぃろもなすじんじばーりす)といって線毛という手足を持っていて組織に付着・侵入したり、バイオフィルムという細菌が複数集まってつくるタンパク質のバリア・家のようなものの形成にかかわったり、ジンジパインというタンパク分解酵素を分泌するということが知られています。

 

歯周病の成り立ちや、悪化する原因とは独立した内容として、当院は、P.g菌がお体に対する悪影響を及ぼす懸念を抱いております。

 

サイエンスという科学論文雑誌に公開された内容ですが、動物実験レベルでは、P.g菌がジンジパインというタンパク分解酵素を使えば、脳の中に侵入することができ、脳の中でも炎症を引き起こすため、脳の神経変性につながり、アルツハイマー型認知症などの発症リスクを高める可能性が示唆されています。

 

お口の中の細菌は、口腔内細菌叢(マイクロバイオーム)といって、100億~1兆個程度の細菌が常在しています。

 

このお口の中の細菌のチーム編成は、お口の中の環境によって人により異なります。

 

ご自身の周りにいらっしゃるご家族や恋人、食生活によっても変化します。

 

前述のようなP.g菌は持たない、もしくは少ないけれど歯周病があったりすることもあります。

 

当院での検査結果調べでは、歯周病の精密検査では見逃されがちな、合っていない詰め物(銀歯など)の下や、親知らずが埋まっているあたりの清掃が難しいところで、P.g菌のRT-PCR検査の結果が陽性になることが確認されています。

 

歯周病の検査は、細い物差しのような器具を用いて、歯周ポケットの深さを測定するのですが、器具を挿入する向きや器具そのものの太さなどの影響によって正しく測定ができないこともあり、以前から問題点は指摘されています。

 

歯周病検査を行わないよりは行った方が気づきを得られる点は多く有用と考えているのですが、一般的な歯周病検査では、P.g菌のような体に悪影響を及ぼす可能性のある菌を見逃して、放置してしまう可能性があるということです。

 

 

 

 

解決策はある?

 

P.g菌に対する解決策はあります。以下のことが考えられます。

 

1.深いところの歯石の取り残しを、歯周病の外科手術で取り切る

歯ぐきの深い部分の歯石をきれいに取り切るためには外科手術をした方が確実な場合も少なくありません。それほど侵襲が大きな手術ではありませんので心配には及びません。

 

2.親知らずが不適切な生え方をしているのであれば抜歯する

親知らずの抜歯と聞いただけで腫れる、痛いなどの拒否反応を示す方が多いですが、適切な術式でやってあげればほとんどの場合、1週間以内に痛みが消失します。

 

3.合っていない詰め物やかぶせ物をやり替える

銀歯や樹脂(レジン)などの詰め物が合っていないと、歯みがきができないなどの理由から悪い菌が増えやすくなったり歯石ができます。

セラミックが最も生体親和性がよく(体と仲良し)、細菌もつきにくいため、むし歯や歯周病ができるリスクを低減できます。

 

4.お口の中の細菌叢(マイクロバイオーム)のチーム編成を変える

前述のようにお口の中のチーム編成を変えるアプローチを行うことも有効と考えています。

ある研究では、乳酸菌生成エキスといって、お口の中の平素で無害な菌が育つように促す餌のようなものをしっかり摂取すると、P.g菌やミュータンス菌(むし歯の菌)が減少したという報告があります。

殺菌や除菌をしないで、菌のバランスを整えるアプローチです。

ちなみに、乳酸菌生成エキスは腸内にも良い影響をもたらすため、腸活中の方、腸内細菌叢を整えて美肌やアレルギー改善、便通改善、免疫を整える効果を期待したい場合にもおすすめできますね。

当院では、このほかにも口腔の細菌叢を整える試みとして、POICウォーター(塩と水を電気分解させて精製した電解機能水)をうがい用として提供しています。

このお水は、タンパク質を分解する作用があるので、前述したバイオフィルムという細菌が作るバリアを壊します。

最初アルカリ性なお水が、お口の中で作用しているうちに弱酸性になっていくため、そうなると殺菌性も発揮できるという2つの効果が期待できます。

 

細菌叢(マイクロバイオーム)の改善は、難治性の潰瘍性大腸炎などの難病にも効果が期待されており、ヒトはかなりの数の細菌と共生していることがわかってきているので世界的にも大変注目されています。

 

以上、今回は、歯周病菌についてブログを書きました。

 

よければ紙芝居の動画も見ていただくとわかりやすいかと思いますのでご覧ください。