良い歯の根の治療。変わりつつある歯の根管治療。
歯科医師の手塚充樹です。
「歯が痛い」という訴えで医院に来られる方に多いのが、歯の神経まで進行してしまったむし歯の症状です。
むし歯の進行度合い
ちなみに、むし歯の進行具合いにも分類があるのはご存知ですか。
歯の神経がある領域までむし歯が到達してしまったり、歯の神経に触れるような深さまでむし歯が進行してしまった際に人は痛みを感じます。
浅いむし歯で痛みがある場合は、冷たいものがしみるようになったり、甘いもので痛みが出ることが多いです。
本来はこのくらいでいったん治療の必要があるかどうかを診断したり、食生活の改善を行った方が良いのですが、けっこう歯科医院に行くの嫌な気持ちが勝ってしまうと我慢してしまう方が多いですよね。
今回は、それよりもむし歯が進行してしまい、温かいものまでしみるようになってきたり、自発的に痛むようになってしまった方、いわゆる歯科医院が嫌いで我慢をすることが多い方に多い状態についてのお話です。
むし歯の進行具合で治療の方法が変わる??
むし歯が自発的に痛んだり、ズキズキし始めたときには神経を一部残す治療か神経を除去して治療する方法が選ばれます。
神経を残す治療では、MTAセメントやドックベストセメントなどを用いて神経を生かし、歯の寿命を最大限維持できるようにすることができます。
しかしながら、本来は神経を取ったほうが良い症例で無理に神経を残そうとしても結局のところ痛みが出てしまったり、もっと根の治療が大変になってしまうこともあります。
日本での根の治療は再発しやすい??
日本では、皆様もご存知のように保険診療というものがあります。
一般的に全額の1~3割負担の費用で、その場の痛みを取りのぞいたり、噛めるところまで機能回復をすることができます。
そのため、私も含め保険診療に対する安心感や「保険」という響きの安定感も感じます。
しかしながら、保険診療で神経を取り除く処置を日本で繰り返してきた結果、根の先の感染(感染根管といいます)の状態になっている数が他の先進国に比べてすごーーく多いということが分かっています。
じゃあ、なぜそんなことになってしまったのか。
保険適用で使える材質には限りがある。
その原因には、根の治療そのものの主義や、根の治療に用いる薬剤や材料に問題があったり、土台の材質やかぶせ物の材質・接着力によるものが考えられます。
また、一度治療した歯に対して、再治療をしたり、本当に痛くなってきたら治療をするというそもそもちょっと手遅れになってからはじめて治療を行うといったような誤った認識(私見ですが)が当たり前に定着してしまっているところにも注意が必要です。
いったんそのサイクルにはまってしまうと、結局のところ再治療や歯を失うこと、その後をリカバリーするためにインプラントなどの治療が必要になってしまうこと。
など、より複雑で手間のかかる治療が必要となることが多いのです。
従来の根の治療と良い器材を用いた根の治療の比較
写真のように、治療回数や治療法に違いがあります。
回数が少なく、二次感染が少なく、再発率も低く、歯が割れたりするリスクが低くなるのが現在お勧めできる根の治療です。
歯の神経がなくなると、歯を守る力が極端に弱くなり、よりしっかりと今後の感染から歯を守ってあげる施策が必要になることだけはよく認識していただきたい点です。
ラバーダム(ゴムのマスク)やマイクロスコープを使用して拡大視野で見た根の治療
ラバーダムというゴムのマスクのようなものを着用することで、唾液や呼気からの細菌の侵入を防げるという利点があります。
また、小さな器材や薬液を咽頭の方(のどの方)へ落っことしてしまうことを防ぐこともできます。
マイクロスコープというのは、望遠鏡のようなもので、ルーペなどの拡大視野よりもさらに拡大して見れます。
そのため、根管の中に異物が入っているかどうかを確認したり、薬液を根管に浸した後、発泡する反応などを観察するのに有効です。
今後、日本の医療費の増大によって窓口の負担も増加する傾向にあるかもしれません。
そうなってくると、病は起きないように自己管理することが大事になってきますし、「治したところの長期予後」が大切に感じる日が近づいていることを感じています。
きれいな治療や審美歯科治療においても、根の治療や土台がしっかりしていないと長持ちできません。
国民の皆様の期待にもこたえられるように、健康寿命延伸型歯科医院ヘルシーライフデンタルクリニックとしてより長く歯を保てる診療を心がけていきますね。