標準治療と向き合いながらがんと闘う がん治療のあれこれ。オプジーボと腸内環境。データ増えてきているビタミンC。~健康寿命延伸型歯科医院ヘルシーライフデンタルクリニックの観点から~ 東京新橋内幸町駅徒歩3分予防歯科・審美歯科

2019/11/20 ブログ

どうも、歯科医師の手塚 充樹です。

 

今回は、治療をするのが簡単ではない病気、がんについて記述します。

 

がんには大きくわけて2種類ある

 

そもそも「がん」という言葉ですが「ガン」と書かれたり「癌」と書かれたりしますよね。

別名は「悪性腫瘍」であり、日本においても死因の主要原因となっています。

 

余談ですが、がんの種類によって表記が変わります。

 

がんには、上皮性(舌の扁平上皮癌など)と非上皮性(血液のがんである白血病など)があり、この全てを呼びたい時は「がん」とひらがなで表記します。

 

「ガン」と書かれているものは造語。

 

白血病のような血液のがんについては、正式には「肉腫 にくしゅ」といいます。



 

さらにがんの種類が細分化されつつある

オーダーメイドの治療法の提案へ

 

先程は、一般的にがんが2種類に大別されているというお話をしました。

 

最近は、病名や病期分類が一緒だったとしても、「この人のこのがん細胞の特徴がこうだからこのようなアプローチで治療する」など、細分化された診断と治療計画立案が可能になってきています。

 

私も口腔外科の診療現場にいた時に、舌癌の患者さんを受け持ったりすることはありました。

診断に苦慮するようなタイプのがんではなく、舌の部分切除を行ったのみで、その後順調に経過をしています。

 

基本的には、その方のがんが「ステージいくつで」ということを基準として、外科的なアプローチを行うことが多かったです。

そのほか、化学療法(お薬)、放射線療法(ガンマーナイフ、サイバーナイフなど)が「標準治療」と呼ばれます。

 

 

抗がん剤で治癒が期待できる悪性腫瘍もある

 

急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、胚細胞腫瘍、絨毛がんなど抗がん剤の治療によって治癒が期待できるものもあります。

 

 

抗がん剤で効果は期待できない悪性腫瘍もある

主に、肝がん、悪性黒色腫、甲状腺がんなどは残念ながらなかなか抗がん剤では効果が期待できないといわれています。

 

化学療法剤の種類

アルキル化剤・プラチナ誘導体・代謝拮抗剤・微小管阻害剤などの種類があります。

代謝拮抗剤として代表的な薬剤に、メソトレキセート(葉酸代謝拮抗剤)という薬があります。この薬は高濃度ビタミンC点滴との併用は禁忌となっています。

歯医者だから関係ないと判断せずに、薬の情報は必ず歯科医師にも提示してくださいね。

ほか、フルオロウラシル(ピリミジン拮抗剤)という薬は、副作用として下痢や骨髄抑制のほか、口内炎もあります。

 

 

分子標的治療薬という抗がん剤とは異なるアプローチ

従来の抗がん剤では、がん細胞の周りにある正常細胞も攻撃するので、骨髄や髪の毛、腸管粘膜など増殖が盛んな細胞に対して障害が出やすいことが知られています。

それに対して、分子標的薬では、がん細胞に対してミサイル攻撃のように攻撃することができるので副作用ないわけではないものの、抗がん剤とは異なります。

副作用の出現頻度や症状には、欧米人と日本人の間で大きな差があるともいわれています。

 

エピジェネティクスという現象を利用したがんの治療薬

細胞が遺伝子配列を変える「エピジェネティクス」という現象を利用した治療薬もあります。

「エピジェネティクス」といえば、私が大学院時代にテーマとしていた内容なので少しお話ができます。

同じ人間の細胞であれば、皮膚だろうが内臓だろうが、遺伝子は一緒です。でも、細胞の振る舞いが違いますよね。皮膚には皮膚の細胞の役割があります。肝臓には肝臓の細胞の役割があります。

それは、遺伝子が一緒でも、そのうちのどの部分の情報を利用して細胞が働いているかが違うからなんです。

遺伝子という情報が100番目まであるとします。遺伝子情報は100番目まであったとしても、皮膚では○○番目と○○番目の情報を使って皮膚の細胞になっている。肝臓では、○○番目と○○番目の情報が使われて肝臓の細胞になっている。

 

細胞が転職する現象が「エピジェネティクス」

元々優等生だった人が、年を取ってから犯罪を犯してしまうように、正常な細胞ががん化してしまうこともあります。

遺伝子のオンオフを制御しているのがエピジェネティクスです。

また、厳しい企業に入社し、ストレスをかけられても耐え、環境に合わせてキャラクターが変わる人がいるように、細胞が姿を変え、環境に適応する場合もあります。

例えば、逆流性食道炎。胃酸に触れることのない食道粘膜がしょっちゅう胃酸に触れるようになると、食道粘膜も胃酸に対抗するために胃粘膜のような強い粘膜に変化し、環境に適応するようになるそうです。

これらもエピジェネティックな変化です。

私が研究していたのは、骨の細胞が神経の細胞へ転職する現象の研究でした。脊髄損傷の治療への応用を研究していました。

骨も神経も人間の身体にとって必須なものですから、医師➔弁護士への転職のような感じでしょうか。

特にこの現象は食生活・栄養によって生じやすいので日ごろの栄養で体が良くなることも悪くなることもあるのはこの要因もあります。

逆流性食道炎によって、エピジェネティックな変化が起きた食道粘膜を、粘膜の状態を整える栄養療法で改善ができることもあります。

 

近年登場した、免疫チェックポイント阻害剤

オプジーボという薬が登場しました。

本来、人間は自分の細胞は攻撃をしないようになっています。

アレルギーや自己免疫疾患にならない限りは、自分で自分を痛めつけるようなことはしませんよね。

がんも、もともとはその人の細胞から発生しているので、がんは自分が攻撃をされないようにするために免疫細胞から隠れることができます。

この、がん細胞が自分の免疫細胞から隠れるために利用している免疫チェックポイントという部分に作用する薬が登場しました。

 

この薬については、画期的といわれていますが、自分の組織を攻撃してしまうという副作用が現れることがあるといわれています。

 

そのため、もともと自己免疫疾患など、自分の身体を攻撃してしまう素因をお持ちの方には不向きな場合があるようです。

 

腸内細菌叢が免疫チェックポイント阻害剤の効果を左右する

良い腸内環境とがん治療の関係性が明らかになりつつあります。

いわゆる酪酸や酢酸などを産生する菌といわれる、フィーカリバクテリウム属やクロストリジウム属という菌が豊富な個体のほうが、免疫チェックポイント阻害剤の副作用が少なく良い効果を得られたという結果があります。

バクテロイデス属が豊富な環境では逆の結果が出たそうです。

 

前回は腸内環境が骨の形成を促進するという内容をブログにしました。

 

また、最近は腸内環境の個人差が、血糖値の上昇しやすさも規定している可能性があることが明らかになってきています。

 

やはり腸内環境は見逃せませんね。

まだ、あまり明らかになっていない口腔内細菌叢についても後述していきたいと考えています。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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ヒトは口から美しくなる、長く幸福な人生を支援する

手塚 充樹

歯科医師 博士(歯学)

ヘルシーライフデンタルクリニック 院長