バランスの取れた腸内細菌叢が骨の形成に関与する。~健康寿命延伸型歯科医院ヘルシーライフデンタルクリニックの観点から。東京新橋駅日比谷出口徒歩3分予防歯科・審美歯科~

2019/11/11 ブログ

歯科医師の手塚充樹です。

 

今回は腸内細菌叢についてのお話をします。

 

近年、急速に研究分野が拡大している腸内細菌叢(腸内フローラ、マイクロバイオーム)ですが、腸脳相関、腸腎相関など腸と様々な体の部位とのつながりがあることが明らかになっています。

 

なぜ、腸内細菌についてのトピックを歯科医師のブログで取り上げるかというと、もちろん口腔内の細菌の中に「悪玉菌」が多かったり、食べ物の咀嚼機能が低下していて食べ物をかみ砕けなかったりすることが腸の疾患と関与しているのではといわれていることもあります。

 

口腔が悪い➔腸内環境が整いにくい

 

SIBO(小腸内細菌異常増殖症)と呼ばれる、小腸の中で細菌が異常に増殖してしまった状態(本来は小腸内の細菌数は比較的少なく、大腸内の細菌数が圧倒的に多い)になってしまった結果、様々な症状が出てしまう病気。

 

SIBOの主な症状は

ニキビ、湿疹

アレルギー、慢性食物過敏症

口臭、歯周病

ブレインフォグ
(頭に霧がかかった様にボーッとする)

抑うつ症状、不安感

痩せにくい

すぐに空腹感

易感染性

関節痛

嘔気・嘔吐

栄養不足

皮膚の赤み

陰部のかゆみ、滲出物

体重減少

 

などなど非常に多岐に渡ります。

 

一つの原因として、未消化な食べ物が口腔➔胃➔小腸と流れ込んでしまうことも考えられていますので、お口の中でしっかり唾液と絡めて消化しやすい状態をつくれているかどうかも重要です(一方で、胃酸の役割も非常に重要ですので、胃酸を抑えるお薬を使いすぎてしまっている方などもリスクが上がります)。


 

腸内環境が悪い➔口の中の処置の成功率に影響(?)

 

また、「骨形成」ということについては、僕ら歯科医師の治療において非常に重要です。

 

私たち歯科医師が日ごろから拝見させていただいている歯ですが、歯は歯槽骨という骨の中に存在しています。

 

歯を抜いた後(親知らずの抜歯や、矯正治療のための抜歯)、重度の歯周病の方の骨の組織再生手術、インプラントのために骨を造る手術(サイナスリフト、GBR等)、いろいろと骨を造ることが関与しています。

 

患者さんの骨をつくる能力が高く、炎症にスムーズに対応できる体に整った状態で手術をした方が、当然治りがよく、良い結果が得られる確率が高まります。

 

腸内で産生される短鎖脂肪酸という良い影響を及ぼす物質

 

特に、腸内で産生されることがプラスとなって働くものとして、短鎖脂肪酸(short-chain fatty acids, SCFAs)があります。

 

この短鎖脂肪酸と呼ばれるものには、酢酸、酪酸、プロピオン酸があります。

 

この中の酪酸は腸管上皮細胞の主要なエネルギー源として使用されると考えられています。

 

 

この酪酸という体にとってよい効果をもたらす物質を作り出せる腸内細菌が確認されています。

 

「Clostridium属 クロストリジウム」という属の腸内細菌です。

 

この細菌が作り出す酪酸が、ヒトの免疫反応を負に制御するということが確認されています。

 

近年増加傾向にある、炎症性腸疾患などの患者さんにおいては、この酪酸を産生してくれる菌が減ってしまっていることも確認されていて、関連性が考察されています。

 

LGG株の実験

 

LGG株の投与によって、腸内細菌叢が変化し、Clostridium属の増加が起こることによって酪酸の生成が増え、Treg細胞という細胞の分化を促進することが確かめられています。

 

その結果、人の免疫反応を抑制したり、骨形成を促進することが示唆されています。

 

LGG株は乳酸菌ヨーグルトとして世に出ていますよね。

 

私は、あまりヨーグルトで体内環境を作っていくことに関しては、菌が胃などを通過する際に死滅してしまうことや、乳製品の摂取の問題、砂糖の摂取量の増加が起こる可能性を考えてあまり好き好んで食べてはいません。

 

細菌は、乳酸菌生成エキスという、腸内細菌の餌となる物質に着目しています。

 

そもそも、LGG株という菌種自体が腸内に定着してくれる可能性が人によって異なります。

 

また、ヨーグルトに含まれる菌などが、食べると胃酸で死滅はするものの腸内には良い影響を及ぼしているとされている理由がまさに、「菌の死骸も腸内の細菌の餌となる」こととされています。

 

そのため、「乳酸菌生成エキス」という餌を腸内に与えるというロジックに共感しています。

 

 

腸内環境が整うことによって、アレルギー改善など免疫系に働くことも知られていましたが、骨形成まで促進するとなるとやはり腸内環境は見逃せませんね。

 

 

腸内環境を改善することによって「骨ができる」だとか大げさなことは言い切れないにしても、「腸内環境が悪い人は、より腸内環境が悪化しないように抗生剤の投与に気を配ったり、骨形成が悪い可能性があることを念頭において処置にあたる必要性がある」ということなど様々な医療行為の配慮にはつながるでしょう。

 

 

口腔内細菌叢、腸内細菌叢の術前診査は大切になってくるか

 

また、ついでに余談ですが、歯科衛生士による専門的な口腔内環境改善が、心臓血管の手術、整形外科領域の人工関節の手術、悪性腫瘍(がん)の手術など様々な全身の手術に際して良好な結果が得られることがわかっています。

 

手術や医療行為を行うにあたって、口腔内環境(口腔内細菌叢)および腸内環境(腸内細菌叢)を術前診査することも有意義といえるほどデータが集まってくると良いと思います。

 

胎児期からの遺伝子診断などもこれからの人生100年時代において重要な位置付けを占めているかと思いますが、すでに成人になり人生を生き抜いている状態の方にとっては、遺伝子診断よりもその時の体の健康度や抵抗力の診断ができたら良いですよね。

 

腸内細菌は100兆個以上、体に存在する細胞の数は細菌の数が圧倒的

 

とにかく、人間の細胞の数が全部で37兆個~60兆個あるというようなこともいわれていますが、細胞の数が圧倒的です。

 

口腔、小腸、大腸、皮膚などいたるところに細菌は共生していますので、それぞれの細菌が産生する物質に人間が頼っていることもあります。

 

常に私も、腸内環境は見逃せないなと思いながら診療にあたっておりますが、私自身の腸内環境の検査などを行ったのでまた後日ブログにて報告ができればと思います。

 

 

今回も読んでいただきありがとうございます。